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ニカラグアの人々から頂いた温かい贈り物 [グラナダでの生活・文化など]

 ニカラグアは、スペインの植民地時代、その後の独立、そして様々な独裁政権の時代ををえて、多様な歴史的価値や体制の中で発展してきました。1936年から1979年まで続いたソモサ独裁政権と、その政権に対抗するニカラグア革命後の内戦のためにニカラグアの経済は崩壊し、国民所得や識字率が他の中央アメリカ諸国と比較し低い水準にあります。前回も少しお話しましたが、ソモサ政権以前は中米一の繁栄を誇っていたといわれるこの国は、現在中米・カリブ海地域でハイチの次に貧しい国です。首都マナグアは、1972年の火山性地震で市街地が崩壊してしまい、その後の内戦により首都は現在も充分に再建されることなく崩壊したままであり、高層ビルはほとんどありません。加えて、インフラ未整備、度重なる自然災害(1998年にこの国に大きな被害をもたらしたハリケーンミッチは記憶に新しいかも知れません)など様々問題を抱え、人々の生活は決して楽ではありません。
 しかしこの国で人々と共に暮らしてみると、このニカラグアという国は非常に興味深く、暮らしの中で人と人との温かい触れあいが日常的にあり、温かい心を持っています。

 前途したように複雑な歴史を持ち現在も続く厳しい社会状況にあっても、ニカラグアの人々はどこかのんびりとしており、明るく優しい気質を持っています。輝く太陽を存分に浴びる暑い気候の中で暮らしていると、人々の気質も自然と大らかになってくるのかも知れません。もちろん人々は国の政情不安に加えて、経済的な問題、家族の問題など個々に様々な悩みを抱えてはいますが、基本的に楽天的、冗談好きで朗らかです。踊り好きの人が多く、ラテンのリズムの音楽が聞こえると自然と踊り出してしまう愛すべき人々です。
大家族の中での暮らしの中では自分の事だけに目を向けることはできず、寄り添い助け合う中で、人々は自然と自分の外の世界に目が向いています。例えば、バスの中で高齢の方や妊婦さんたちなどの弱者に席を譲る、座っている人が立っている人の荷物を持つなどの行為は日常的に目にします。
また私が小さなことで悩んでいると、「どうしたの?病気になってしまうから悩むのはやめなさい。大丈夫よ、何とかなるわよ。」、「心配しないで。」と何度もニカラグアの人々に励まされて過ごしてきました。不思議なもので、ニカラグアの人々にこのように励まされると、何だか気持ちも軽くなるのです。また人々は、必要以上に心配したりすることなく、のんびりと構えて状況が変化するのを待ちます。この国の人々のこのような対応は、暮らしが楽でない中で、自分の力だけではどうにもできないことに抵抗せず、暮らしの中で楽しみを見つけ、明るく生きる知恵から生まれた行為なのではないかと感じています。  

 人は、人の世話をするために生きる、とある方から聞いたことがあります。ニカラグアの人々から頂いた“外に目を向け、人の世話をしながら日々を楽しく生きる” という大切な温かい贈り物を胸に抱き、日本に帰りたいと思います。

 ”ニカラグアでサンバ” も、ここで一区切りとなります。
ブログは続きますが、色々な方に温かいコメントを頂き励まされて、ニカラグアで過ごしてきました。
紙面を借りましてお礼申し上げます。ありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。

小児歯科臨床 2012年8月号に連載 一部修正

市場で子守をしながら商いをするおばちゃんとおばあちゃん
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コーン島にて(カリブ海側) 
時間を忘れて砂まみれで遊ぶ少年たち  
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昼間のひとときをトラックの下で昼寝・・・至福のひととき
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グラナダ メルセ教会の前で休むきょうだい
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こんな風景が自然にありニカラグア 10年後、どのように変わっているでしょうか。
ひとびとの心に流れている温かい気持ちはきっと変わらない・・・でいるといいなと思います。









                                    
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