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ニカラグアでも自然なお産の危機が訪れている? [グラナダでの仕事]

 3月、4月と各1日ずつ、看護師、医師を対象にParto Humanizado(人間的なお産)の講習会を企画実施した。
 私の住むニカラグアの第3に都市であるグラナダでは、Parto Humanizadoが実施できれば理想的だが、実際には、人員的な問題、環境、設備の問題で難しいのではないかといった意見が多く、なかなか実現の方向には向かない。Parto Humanizadoをおおごとに捉えてしまっている印象を受ける。

 しかし、興味深いことに北部の山間で働く助産師の友人のところの講習会では、Parto Humanizadoの一つであるフリースタイルのお産の話をすると、抵抗なくやってみようという意見が多く、またフリースタイルでの分娩を実施している保健所もある。
 環境、設備の問題でも、「マットが有ればできるわよ。」と、おおごとに捉えていないようだという。田舎の妊婦さんたちの方が自宅でお産をする確率が高く、また様々な問題から病院に行きたがらない傾向が強い。そのため、病院でのお産を勧めるとき、女性達の意見を取り入れないとますます病院に来たがらず、安全な分娩という大前提が守られず妊産婦死亡率が上昇することに繋がるからかもしれない。そのため、医療者側が女性達の意見を取り入れて病院でのフリースタイル分娩を行えるようにするのかもしれない。また、田舎ではまだまだ伝統的産婆さんたちが多く働いており、お産の知恵が脈々と伝承されているのかもしれない。

 しかし、この国でも安全なお産を行うために病院での分娩だけを過度に推進してゆくと、日本が1960年を境に病院での分娩に移行し産婆さんたちの巧みの技が失われていったように、ニカラグアでも伝統的産婆さんたちを利用する人が減り、彼女たちが持つ技がどんどん失われていってしまう可能性がある。

 安全な分娩はもちろん大前提であるが、人的資源の再利用として伝統的産婆さんたちを病院での分娩介助の支援者に参加してもらうようにしてゆかなくては彼女たちの匠の技が何年か後にはあっさりとこの国から消えてしまうかも知れないと危惧する。

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